島津くんしっかりしてください
『なるほどね……』



「それで、真見さんのことをよく知ってる坂田さんなら、何かわかるんじゃないかと……」



『……』






黙り込んでしまった坂田さんの言葉を、ひたすらに待つ。







『……もしかして、あの家に……?」



「えっ?」



『確信を持って言えるわけじゃないけど、もしかしたら誠はあの家に行って、何かあったんじゃ……あの人にあったとか……』




「何っ? 坂田さん、あの家って?」



『……誠の、前に住んでた家の事だよ』






少し言いづらそうな声色。






微かに聞こえた言葉に、きょとんと目を丸くした。






「え? 前の、家……?」



『うん。誠と私って、幼稚園であったの、それで小学三年生くらいまで同じ学校で……それから誠は引っ越しをしたんだ。それが今の家』




「へぇ……だからその、前に住んでた家にいる可能性があるってこと?……住所教えて」






間髪入れずにそういう俺に、坂田さんは困惑したような声を上げる。






『えっ? いや、可能性があるってだけで確実じゃないんだよ? それに隣町だし……』



「いいんだ。少しでも可能性があるなら」



『……わかった。住所送るね』



「ありがとう。……ごめんね、迷惑かけて」




『全然迷惑じゃないよ。……私も探したいけど、親に見つかったら面倒なことなっちゃうし……私こそたいして役に立たなくてごめんね』




「ううん、助かったよ。真見さんのことは俺に任せて」



『うん……』






その家が真見さんにとってどんな場所だとか、あの人が誰なのかとか、色々と疑問に思うところはある。






だけど、今はそんなことを気にしている場合ではない。






真見さんを家に連れ戻すのが最優先事項だ。






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