島津くんしっかりしてください
そのことを、学校終わりに寄ったカフェで言うと、加奈子は爆笑。






「今さら知ったの⁉ 有名じゃん、文化祭実行委員に夏休みはないって」



「へぇ……全然知らなかった」



「やばー噂に疎いのは知ってたけどここまでとは。爆笑不可避だわ」



「……というか、夏休みはバイトのシフト増やして働こうと思ってたのに……このスケジュールじゃ増やすどころか減らさないといけないことが一番の悩みだよ」






まぁ、幸いにも今年は家政婦の仕事で収入がそこそこあることもあって、シフトを減らしていたから、何とかなるだろう。






でも、お金の出るバイトと委員会では、バイトの方が精神的に行きたいものだ。






一番の問題はここだと、ため息を漏らす。








すると、加奈子は意外だと言いたげに、アイメイクを施した目をぱちぱちとさせた。






「へー。委員会の集まりで、半強制的に島津くんと話さないといけないのは、いいんだ?」



「あ」



「あ? 忘れてたなこの馬鹿者」



「……忘れてないよ?」







いや、嘘です。完全に忘れてた……。






加奈子に、にこりと笑みを返し、内心頭を抱える。






え、え……どうしよ。


え、どうしよう。






気まずすぎる。






「……てかさ、ずーっと聞きたかったんだけどさ」



「うん?」



「……あの日ってさ、誠、あの家に行ったんだよね?」



「……」






数回瞬きを繰り返し、それからふっと目元を和らげた。






「……そうだよ。よくわかったね」


流石幼馴染。






そう言って笑いかけるも、加奈子の表情は固まったままで。






それで、その後に続く言葉も、想像できてしまった。






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