島津くんしっかりしてください
いよいよ今日の集合場所である第一会議室に近づいてきたので、二人そろって仮面をかぶりなおした。






「おはようございます」






教室に入るなり先生と目が合って、軽く会釈をする。






「おぉ、真見。鹿島。一緒に来たのか?」



「はい、途中であったので」






そう答える先輩を横目に、島津くんの姿を探してしまう自分がいて。






島津くんはもうすでに席についていた。






それで、何故か瞳を丸くして、こちらを凝視している。






首を傾げると、私の視線に気が付いたのか、慌てて逸らされる瞳。








……? どうしたんだろう。



……まぁ、いいか。






頭に浮かんだ疑問を無視して、その隣に席を落とした。








会話は一切ない。




隣に座っているのに。






島津くんの心はとてつもなく遠いところにあるような気がして。



私のせい、なのに。






……なんだろう。






机の下で、スカートをギュッと握りしめた。






こうさせているのは、私なのに、心臓が痛い。






恋なんて。



いらない。



知らない。






知りたくもない。






……そう、だよね?






私は、一生恋なんて、できない。






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