島津くんしっかりしてください
協力、ねぇ……。
少し考えて、私は島津くんに笑顔を向けた。
「ごめん、島津くん。協力はできない。そもそも私付き合った経験とかないし、他の人に相談乗ってもらった方がいいと思う」
「え、でも俺は……」
「ごめんね」
再度念を押すように断ると立ち上がり、パンパンと服に着いた汚れを払った。
立ちあがった途端に黒髪が肩からさらりと音を立てて滑り落ちる。
勝色の瞳を薄く細めて、笑顔を作った。
「もう仕事終わったし、私帰るね。お疲れ様」
「……うん、お疲れ」
どこか納得していないような顔の島津くんを置いて、私は資料室を後にした。
『俺の片思いだよ……ずっと、好きな人がいるんだ』
……相談する相手、間違えてるよ。島津くん。
島津くんが幼馴染さんの話をするときはどことなく嬉しそうで。恋をしていることが楽しくて仕方がないと言わんばかりで。
……でも、恋って、本当に幸せなものなのだろうか。
私はそう思えない。
恋なんてつらいだけで、救いなんてないと、そう、どうしても考えてしまうのだ。
『誠ちゃん……私、あの人の事まだ好きなのよ。ごめんね……』
っ……!
切なげな笑みがちらりと脳裏を駆けて、口元を押さえた。
どくどくと手の下を流れる血液が変な音を立てて暴れ出す。
くらりと眩暈がして、唇を噛み締めた。
……馬鹿みたい。謝るくらいなら、やめればいいのに。
少し考えて、私は島津くんに笑顔を向けた。
「ごめん、島津くん。協力はできない。そもそも私付き合った経験とかないし、他の人に相談乗ってもらった方がいいと思う」
「え、でも俺は……」
「ごめんね」
再度念を押すように断ると立ち上がり、パンパンと服に着いた汚れを払った。
立ちあがった途端に黒髪が肩からさらりと音を立てて滑り落ちる。
勝色の瞳を薄く細めて、笑顔を作った。
「もう仕事終わったし、私帰るね。お疲れ様」
「……うん、お疲れ」
どこか納得していないような顔の島津くんを置いて、私は資料室を後にした。
『俺の片思いだよ……ずっと、好きな人がいるんだ』
……相談する相手、間違えてるよ。島津くん。
島津くんが幼馴染さんの話をするときはどことなく嬉しそうで。恋をしていることが楽しくて仕方がないと言わんばかりで。
……でも、恋って、本当に幸せなものなのだろうか。
私はそう思えない。
恋なんてつらいだけで、救いなんてないと、そう、どうしても考えてしまうのだ。
『誠ちゃん……私、あの人の事まだ好きなのよ。ごめんね……』
っ……!
切なげな笑みがちらりと脳裏を駆けて、口元を押さえた。
どくどくと手の下を流れる血液が変な音を立てて暴れ出す。
くらりと眩暈がして、唇を噛み締めた。
……馬鹿みたい。謝るくらいなら、やめればいいのに。