島津くんしっかりしてください
「あの、えと……わ、私の親はヘアメイクアーティストで……勉強とかしてるので、その、お役に立てると思います」






黒髪のおさげをぷるぷると震わせ、おどおどと言う彼女に、周りも賛同の声を上げる。






「いいじゃん! 俺もみたいー!」



「真見ちゃんに似合う衣装何かなー?」



「てか、この流れで島津も接客なったらいいんじゃねー?」




「え」









急に飛んできた流れ弾に、島津くんがぴしりと凍り付く。









あぁ……飛び火した……。






心の中でなむなむと両手を合わせた。






一応フォローはしようかと、口を開く。






「えっと……島津くんって、そういうの苦手なんじゃないかな? 無理強いするのは……」



「でも誠も見たくない? 島津くんのコスプレ」



「う……」








見たくないか、と聞かれたらみたいに決まっている。






島津くんは容姿もいいし、スタイルだっていい。






どんな衣装だって似合うんだろう。







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