島津くんしっかりしてください

13,文化祭準備後半

「……だめだわ。全っ然だめ」






加奈子が私の顔をまじまじと見つめてため息をつく。









「この子なんでも似合いすぎてどんな仮装にするか決められない……」



「本当にそうですね。圧倒的顔面偏差値……」






黒髪おさげの……佐藤さんも、ほっと息を吐いた。






「そんなこと……2人のメイクの力だよ。きっと」






鏡に映る私の顔にはばっちりとメイクが施されていて、いつもと雰囲気が全然違う。






いつもは面倒臭くてろくにメイクなんてしないから、自分でも見慣れないや。








今試着しているのは、メイド服。









とはいってもミニスカートではなく、ロングスカートタイプだ。









2人曰く私にはそっちの方が似合うんだとか。









歩くたびにさらりと靡くロングスカートに、カチューシャ。









メイクは少し控えめだけど、目がいつもより大きく見える気がする。






唇が赤い。









衣装にもカチューシャにもふんわりとしたフリルが付いていて、とてもかわいらしい。








というか、かわいすぎて凶悪顔の自分に似合っている気がしない。








それでも、誰にも似合ってないといわれないのは、間違いなくメイクの力だろう。









「誠はどのコスプレがいいの?」



「私?」







赤いチャイナドレスに身を包んだ加奈子が聞いてくる。









色々なコスチュームを着たけど、これと言って気に入ったものはない。







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