島津くんしっかりしてください
そんな圧を出すと、島津くんはぶるりと背筋を震わせ、きちんと答えなおす。









「……うん、この衣装に決めたから」



「執事?」



「……うん。褒められたし」



「……へー」








少し面白くなくて、私は不貞腐れたように息を漏らした。









「?……どうしたの」



「……別に? なんでもないよ」






にこり、と品のいい愛想笑い。


と、島津くんが無言で手を伸ばして。






するり、と、頬を撫でられる。






「っ……ぅ、えっ」






驚きで変な声が漏れる。






少し冷たい、筋張った指の感覚。






触れた部分がじんじんと熱を持って、まるで火傷のようで。





どきどきと心臓の音が耳奥で響く。






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