島津くんしっかりしてください
「……先輩? 島津先輩いっちゃいましたよ?」



「ぁ……っ」






品川くんの声で我に返って、数回瞬きを繰り返す。








「それにしても島津先輩って笑えたんすね! なんならちゃんと話してるとこも初めて見ました」



「そう、だね……」






私も……あんな笑顔、初めて見た。






どこかふわふわと、夢見心地で。






緩く頷いた。








「あれ、先輩顔真っ赤ですけど、大丈夫すか?」



「っ~だ、大丈夫だよ」






指摘されて、慌てて緩み切った顔を引き締める。






しっかりしろ。






表情の管理を徹底して……。






目を閉じて数回深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。









「そういえばさ、先輩は当日どんなコスプレするんすか? やっぱメイドっすか?」



「え?……んー」












< 173 / 372 >

この作品をシェア

pagetop