島津くんしっかりしてください
……うん、予定通り。






金額を予算内に収めて、お店を出た。






「結構早く終わったねー」



「うん。そうだね」






スマホを起動し、ちらりと時間を確認する。






「島津くん。まだ時間あるし、ジュース買いに行くついでに息抜きいかない?」






遠くまではいけないけど、と最後に付け足す。






そんな風に提案すると、島津くんは数回瞬きを繰り返して、それからぱあっと表情を明るくした。







「うん! いきたい!」


「じゃ、行こ」







再び並んで歩き始める。






先に話し始めたのは、島津くん。






にこにことご機嫌な様子で、こちらを覗き込んだ。






「でも、めずらしいね。真見さんがこんなこと言うなんて」



「……まぁ、たまにはね。迷惑だった?」



「ううん! 全然!」







ぶんぶんっと大きく首を横に振る島津くんから視線を外し、地面へと落す。





らしくないことを言ってしまったのは、わかってる。







でも、たまにはいいじゃないか。






付き合いたいとか……そんな高望みはしないから、少しくらい。






……少しくらいって、そんな考えしてるからダメなんだよね。






馬鹿だなぁ、私。







あー息抜き行こうとか、言わなきゃよかった。






でも、後悔してももう遅い。






だって島津くんがあんなに嬉しそうなんだもん。






今更なし、なんて言えるわけじゃない。







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