島津くんしっかりしてください
これからはもっと琴音を気にかけないと。






絶対に、この子には寂しい思いをさせてはいけない。






この子は幸せに、そのまままっすぐに育ってほしいから。






環境や、境遇がそれを捻じ曲げるなんてこと、あってはならない。









……そのためには、私がもっと頑張らないと。












「……あれ、真見さん?」



「え」






ぼーっと考え込んでいると、誰かに声をかけられて、我に返る。






「……え、島津くん?」






なんとそこにいたのは私服姿の島津くん。






「えーっと……偶然だね? ここで何してるの……っ」



「まこちゃんその人だれー?」






突然声をかけられたことで、島津くんの肩がビクッと大きく揺れた。






ひょこっと顔を出した琴音の姿を認識した途端に凍り付いていく島津くんの表情。






あ。島津くんの人見知りが発症してしまった。






これ小さいこともも適用されるんだ。






スンと顔から表情が抜け落ちて、琴音がちょいちょいと私の服を軽く引っ張る。






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