島津くんしっかりしてください
島津くんはふにゃりと顔を緩ませて、私に笑いかけた。











「……ありがとう」




「……うん」








それからおもむろに立ち上がって、数歩歩き出し、こちらを振り返る。










「俺、決めた」




「……島津くん?」








真っ直ぐに、前を見据える島津くん。







その瞳にはさっきまでの弱々しい光が消えて、しっかりと前を向いていた。




















「俺、文化祭で鞠姉に告白する」











「……ぇ」







声を漏らして、目を見開いた。








途端に心臓がどくどくと、嫌な音をたてて暴れ出す。









指先が冷たくなるのを感じて、少しでも熱を漏らさないように、強く握り込んだ。























……嫌だ。


























浮かんだ言葉を、笑顔でコーティングして、唇の端を持ち上げる。










「……いいんじゃない? 応援するよ」
















私はそう言うしかなかった。












今、はっきりと、線引きをされた。











私と島津くんは、違う。






私は、島津くんのようにはなれない。
















わかっていた、ことなのに。



















……ずっとわかっていたのに。









私も、知らないふりをし続けていた。
















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