島津くんしっかりしてください
そう思い立って立ち上がった時、何かがぎゅっと、腕に絡みついてきた。










え? 何?










びっくりして見ると、大きなはちみつ色の瞳が合う。









「まーことちゃん! 今から休み? 一緒に遊ぼうよー!」




「……はい?」









鞠亜さん?





何故ここに?






というか島津くんはどこに……?









見れば、島津くんは鞠亜さんの後ろにいて。









両手で顔を覆いながら、じめじめとしたオーラを滲みだしている。










ちょ、おいなに下を向いてるんだ。








これ島津くんの好きな人でしょ!








こんな三角関係に組み込まれるのは私も嫌だよ⁉








もはや役に立たない島津くんから目を離し、鞠亜さんに引き攣った笑みを向けた。











「えー……と、島津くんと二人で遊べばいいのでは?」




「えー? なんで陽くんと二人? それより誠ちゃんと遊びたいなー、ねっ? いいでしょ?」










……いや、あの。ごめん。違うよ。違うの。










恋敵になろうなんて、一ミリも考えてなかったよ?









だから島津くん……





そんな悲壮感たっぷりの顔でこっちを見ないでくれるかい……?











「ねー誠ちゃん―いいでしょ? 仲良くしようよ~ねぇーねぇー!」




「あ、う……わ、わかりました……」




「ほんとっ? わーい!」









バーサーカーモードになった鞠亜さんを止められる人は、ここにはいない。









唯一止められそうなオーナーはいまだにインスタントコーヒーを味わっているし。










ここは従うしかない。







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