島津くんしっかりしてください
……いや、そうじゃなくて。








「琴音、どうしてここにいるの？」







そう問いかけると琴音はふわふわとした髪を柔らかく揺らして、にぱ、と笑いかけてきた。









「まこちゃんに会いたいって言ったら洋子おばちゃんが連れてきてくれたの！」



「その通りよ！　私が連れてきたの！」







後ろから洋子さんがバサッと髪を掻きあげながらやってきて、それからぎゅうっと強い力で抱き寄せられる。








「あぁん！　誠ちゃんが今日もかわいいわ～！」



「ぐぇ……っ」








おもわず潰れたカエルのような声を漏らすと、島津くんが慌てたように引き離してくれた。











「あっ、ちょっと陽平ー？　何するのよ？」



「何するのって……真見さんが潰れちゃうよ。少しは手加減しないと」




「あら、ごめんなさい。つい」




「ぃえ……。だ、大丈夫です……」









てへぺろとかわいらしく舌をのぞかせる洋子さんに、息を整えて短く息を吐いた。









「洋子さんたちはいつまでいられるんですか？」



「いつまでも誠ちゃんのそばにいるわよ！といいたいところだけど、残念ながらもう帰らないといけないのよねぇ……」






ぐすぐすと泣きまねをする洋子さん。






……相変わらず、洋子さんって大人って感じがしないな。









< 198 / 372 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop