島津くんしっかりしてください
「ねぇ、まこちゃん。このお兄ちゃんだあれ? お顔かたまっちゃってるよー?」



「えーっとね……私と同じ学校の人だよ。顔が凍り付いてるのはえっと……そう。琴音と話すのが緊張するからだよ」



「……つまりまこちゃんのお友達ってこと⁉」



「え、違……」



「違うの……?」



「違……くない、かな……?」



「お友達なんだ! え~このお兄ちゃんがまこちゃんのお友達かぁ~!」






否定しようとすると、途端に琴音が瞳を潤ませるので、すんでのところで言葉を飲み込む。






すると琴音は嬉しそうに声を上げて島津くんに駆け寄った。







「はじめまして! 真見琴音っていいます! まこちゃんの妹です!」



「……あ、えと……島津、陽平……です」



「しまず、ようへい、さん? ようへ―お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」



「あ……うん」



「えへへっ、ようへ―お兄ちゃん、ようへ―お兄ちゃんかぁ……!」



「……」






何度も何度も嬉しそうにその名前を呟く琴音に、島津くんも緊張の糸が切れたのか、ふ、と口元に笑みを浮かべた。









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