島津くんしっかりしてください
「ありがとね……陽くん」



「鞠姉?」



「私お姉さんなのに……頼りないねぇ」




「そんなことないよ」





「そんなことあるよぉ……」







「そんなこと、絶対にないよ。だって、鞠姉はかっこよくて。いつもにこにこ笑ってて、すごくて。優しそうなようで、ちょっぴり強引で。いつもみんなを引っ張ってくれて……えぇと、それで、それでっ」






「……ふふっ、ありがとう。陽くん」









本当は、まだまだ鞠姉の事を褒められるのに。







うまく、言葉が出てこない。






………ほんと、口下手な自分が嫌になる。
















『告白しないの?』
















「……」






ほんと、なんなんだ。






どうして、こんなにも。








「……鞠姉。後夜祭の時さ、2人で話せない?」



「後夜祭……2人で?」



「大事な話があるから。場所は……そうだな、屋上とかどう?」




「う、ん……いいよ?」











声色に疑問を意地ませながらも鞠姉は了承を出した。












……これで、いいんだよね?













「……ねぇ、鞠姉」



「……んー?」



「……やっぱり、なんでもない」





「なにそれ」









陽くんったらおかしいな、って、柔らかな笑顔。






ころころと鈴を転がしたような笑い声に、俺は何も言えずに俯いた。









歩き続けていると前の方が明るくなってきて、鞠姉に声をかける。







< 206 / 372 >

この作品をシェア

pagetop