島津くんしっかりしてください
「鞠姉、もうすぐ出口だよ。大丈夫? もう歩ける?」




「うん」








こくりと頷いて、鞠姉が背中から降りる。








それからこちらを振り返って。







「陽くん、ありがと」









目を細めて、気の抜けた笑み。






はちみつ色の瞳が暗がりに輝いていて。






……それが妙に眩しくて、目に染みた。








出口とか書かれた扉を開けると、明るさに眩んで、一瞬目を薄く閉じた。







目の裏に二人の人影がちらりと映り込む。









「……」





「…………」







…………真見さんと、一輝……?







何を話しているんだ?






教室から出ると、そこには真見さんと一輝がいて。






親し気な距離感に、胸の中にぽとぽとと黒い絵の具が滲んで、広がっていく。











「……どうして、2人が一緒にいるの?」








……どうして。





……どうして、こんなにも。

















わからない、何も……。














どうしてこんな……こんな気持ちになってるんだろう。















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