島津くんしっかりしてください
それから数分後。






……なぜこうなった。






面倒事に巻き込まれないためにも、もう島津くんとは関わらないと決めたはずなのに。






今や二人は昔馴染みの知り合い並みに仲良くなっていた。






まあ、どちらも無邪気な明るいキャラっていうタイプは一緒だし、相性も良さそうだったけど……。






島津くんはもはや人見知りは何処に状態。






琴音の笑顔に浄化されてにこにこと笑って感情表現ができている。







「……あ、琴音。私そろそろバイトの時間だから。家に帰ろう」



「わかったよ、まこちゃん。いつも通りいい子に『おるすばん』しておくね!」



「……ん? ちょっと待って。今から琴音ちゃん家に一人なの?」



「えー? そうだよ?」






それのどこがおかしいの? と言わんばかりの琴音に、島津くんは驚いたように声を上げた。







「いや。危ないでしょ。真見がバイトなのはわかったけど、お母さんは?」



「お母さんはおしごとだよー」



「……」



「……島津くん、ごめん。もうバイトの時間だから」






黙り込んでしまった島津くんに、私は会話を断ち切るように声をかける。






私が島津くんの事情に足を踏み込みたくないのと同時に、島津くんにも私たちの事情に首を突っ込んでもらいたくなかったから。






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