島津くんしっかりしてください
「……俺、後夜祭の時間、屋上で鞠姉に告白する」




「っ……」









突然の出来事で一瞬面食らうけど、なんとか我に返った。






覚悟は、とっくにできていた。









「……うん。頑張って」






精一杯振り絞ったエール。







……ねぇ、島津くん。










私、上手に笑えているのかな。






君の瞳を真っ直ぐに見れないや。









島津くんは硬い表情を少し緩めて、










「……うん」










小さく頷き、ほっと息を吐いた。










「話はそれだけ?」




「うん」




「わかった。それじゃ私、急ぐから先に帰るね」




「……うん」










言って、人でごった返す廊下を一人駆ける。






何も考えずに、走って、走って、心臓が痛くて。






破けそうになるくらい、痛くて。












……でも、立ち止まることはできなかった。






そうでもしないと、自分が自分じゃなくなってしまいそうで、怖かった。









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