島津くんしっかりしてください
「じゃあ、どうして看護師になりたいって思ったの?」




「……知りたい?」




「知りたいから聞いてるんだけど」





「えぇ~どうしよっかな~」









にまにまって俺を見る目て、勿体ぶるような口調。










真っ直ぐに見つめると、鞠姉は楽しそうに笑って、こちらをそろりと指差した。










整えられた指先がこちらを向いて、ぱちぱちと目を瞬かせる。









一瞬、脳が追い付かなかった。










「……え、俺?」







そういうこと?






首を傾げる俺に、鞠姉はくすくすと笑い声をあげた。










「うん」








小さい頷きに、疑問が確信に変わった。










「俺がきっかけって……どういうこと?」




「陽くんって昔からどんくさいよね」




「え”」










いや……否定はしないけど……。








いきなり罵倒されるとは思わないよね……?











防御力ゼロの状態で右ストレートをもろに食らって、低い声を漏らした。










「ど、どんくさいよ……?」




「え、違う違う。貶してるわけじゃないよっ?」








ぶるぶると小刻みに震える自分に、鞠姉は慌てたように続ける。










「えっと、どんくさ……えっと、おっちょこちょい?でよく怪我してたでしょ?」




「……まぁ、そうだね」







なんか濁されたな……。









感づきつつ、頷いて同意をする。










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