島津くんしっかりしてください
「……だから、歌は趣味でいいんだ~。誰も聞いてくれる人がいないってのは、ちょっぴり寂しいけどね?」




「……俺が、聞くよ」




「え?」









大きく見開かれた、はちみつ色の瞳。







ぷっくりとした唇がきょとんと丸められて、首を傾げた途端にミルクティーベージュが揺れた。













「俺が……ずっとそばで、鞠姉の歌を聴くよ」




「……」









ぱちぱちと瞬かれる瞳。







気まずくて目を伏せた。










「……ありがとう、すごく。嬉しいや」





「……」









絶対に伝わってないよな、これ。







いつもならきっと、ここで笑って、幼馴染だからね。




……なんて、誤魔化していた。








……だけど、決めたんだ。









今が勇気を出す瞬間なんだと。








そう、自分が決めたから。






ここで自分の気持ちも、全部、全部、吐き出すんだ。









「……鞠姉に寂しい思いなんて絶対、俺がさせないよ。……俺が、一生そばにいるから」




「……陽くん、それ、プロポーズみたいだよ? 勘違いしちゃう」









「……勘違いじゃ、ないよ」










顔を上げて、鞠姉を真っ直ぐに見つめる。









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