島津くんしっかりしてください
「よその子を預かって、もし何かあったら責任とれるの?」



「……でも、琴音ちゃんが可哀そうだよ」



「……っ」






……痛いところをつくなぁ。







『まこちゃんが早くむかえにきてくれてうれしかったのー!』






私が琴音に寂しい思いをさせていたのは、認める。







それはどうしようもない事実だ。









……でも。






「……それでも、大切な妹をよく知りもしない人の家に預けるなんてこと、私はしたくない」



「真見さん……」









「……ことね、ようへ―お兄ちゃんのおうち行ってみたいなー」






その時、その場に不釣り合いなほど明るい声が響いた。






見れば、琴音が私の服の裾をきゅっとつかみ、こちらを見上げている。






「え……琴音?」






今まで静かにこちらを伺っていた琴音の言動に、思わず瞬きを繰り返す。






「まこちゃんおねがいします! ことね、ようへ―お兄ちゃんのおうち行ってみたいー! 今日だけだからー!」



「琴音……」






どうしたんだろう。






普段琴音は大人しくて、我儘なんて滅多に言わないような子だ。






< 23 / 372 >

この作品をシェア

pagetop