島津くんしっかりしてください
……あの日の事は、島津くんの口からはきいていない。









だけど、結末なんてとっくにわかっていた。










きっと、フラれてしまったんだろう。















……島津くんは、すごいな。










片思いをしている相手が好きな人は、自分じゃない。








その辛さは。










絶望は、私が一番わかっている。










だけど、島津くんはそれでも前を向いていて。











勇気を出して、告白までして。















……本当に、私とは正反対だ。










島津くんはかっこいい人が好き。











私はその好みにすら当てはまっていないのだから、望みなんてない。










そう、わかっているのに。







この気持ちは、色あせることを知らない。








諦めようとなんて、できなくて。








今も少しずつ、気持ちが膨らんでいっているような感覚。















……本当に、初恋って厄介だ。










行き過ぎた恋心は身を滅ぼす。








両親を見て、そんなことはわかっていたのに。









……十分すぎるくらい、わかっていたのに。









それでも、気持ちを押し殺すことなんて、できなかった。











< 233 / 372 >

この作品をシェア

pagetop