島津くんしっかりしてください
現実主義。







それを目指していたころになんて、到底戻れそうにない。













……同居したての時の私が今の自分を見たら、軽蔑して、長ったらしい説教でも始めるんだろうな。











耳が痛いや。











はは、と乾いた笑みを漏らし、元気に走り回る琴音の影を目で追う。
















……ずっと、琴音だけが大切だった。









この子さえいれば、それでよかった。











私の、唯一の宝物。











だけど、今は大切なものが増えて。







守りたいものも、幸せにしたいものも増えた。










だから、今私はこんなにも悩んでいるわけで。















……だけど、こんな気持ちなかったら、なんて。












そんなことは、全く考えられない。











苦しんだ数と同じくらい。









……ううん、それ以上に、幸せを、笑顔を貰えたから。











相対的に考えたら幸せの方がよっぽど多いんだ。
















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