島津くんしっかりしてください
「陽くんが私に好意を向けるようになって、私と、陽くんと、一輝の……三人の関係が崩れるのが、怖かったの」





「……」




「だから、ずっと知らないふりをしてた。まだ、引き返せると思って。決定的な言葉もなかったし、このまま知らないふりをして入れば、今のままで、皆で一緒にいれるって、思ってたから」





「……っ」





「……だけど、」











そこで鞠亜さんは言葉を詰まらせて、ふるりと唇を震わせる。









ゆるゆると俯いて、青ざめた顔に熱を失った指先を這わせた。











「陽くんに告白をされたとき、もう無理なんだって、思って……幼馴染の関係を簡単に崩して見せた陽くんが憎らしくて、……うらやましくて。私はそんなことできないって、考えて、落ち込んで」




























「結局変われてないのは、私だけなんだ」














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