島津くんしっかりしてください
私がだめだといったことをしたがるなんて、初めての経験で。






何を言えばいいのか、言葉に詰まる。






「でも……」



「俺からもお願い。何か些細なことでもあったらすぐ連絡するし、絶対に琴音ちゃんを危険な目にはあわせないから。約束する」






約束……そんな不確かな事、信じられない。






……でも、懇願するように必死でこちらを見つめる琴音の姿に、ふっと息を吐いた。






……思えば、琴音が我儘を言わなくなったのは私のせいだったのかもしれない。






私は琴音に苦労を掛けたくない一心で必死だったのが、知らず知らずのうちに琴音に伝わっていたのかな。






だから琴音はいつも私の言うことをすべて聞いて、いつも『いい子』であろうとするんじゃないのか。






そんな琴音が言った我儘。






これを叶えてあげられないなんて……そんなの、無理だ。








「……わかった。今日だけね」



「っ!」






ため息交じりに了承すると、琴音はぱあぁっと瞳を輝かせて、抱き着いてくる。







「ありがとう! まこちゃん! だーいすき!」






その頭をよしよしと撫で、島津くんに目線を向ける。






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