島津くんしっかりしてください
風にミルクティーベージュが揺れて、鞠亜さんの表情を隠した。







本当は泣きたいのに、涙が出なくて。









笑うしかない、そんなぐちゃぐちゃな感情が、ダイレクトに伝わってくる。













「…………鞠亜さんは、鹿島先輩が好きなんですよね」












私の問いに、鞠亜さんはきょとん、と眼を瞬かせて。

























「……うん。陽くんに会う前から、ずっと……好きだった」












『あの日』のように、赤く染まったさくらんぼ色のほっぺた。











柔らかく伏せられた長いまつげに隠しきれない感情が、瞳の奥に込められていて。











本気なんだと、認めざるを得なかった。









島津くんじゃ、だめなんだ。








私や島津くんが、同じように。








あっさりと諦められるわけがない。










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