島津くんしっかりしてください
「まこちゃんー」





「……琴音」










ぱたぱたと小さな足音と、鈴のように柔らかい声質。









琴音の気配に、空中に漂わせていた視線を琴音に標準を合わせた。









「まこちゃんっ、話し終わったー?」



「…………うん、そう、だね」









曖昧な返答に琴音はきょとんと大きな瞳を瞬かせて、それからにぱ、と笑顔を浮かべた。











「それじゃあおうちに帰ろ?」









差し出された手をそっと握り、鞠亜さんを振り返る。











「……鞠亜さん。失礼します」






「…………」









返事は、返ってこなかった。









無言で踵を返し、琴音を抱き上げて歩き出す。










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