島津くんしっかりしてください
「まこちゃんはほんとに、クリスマスなのにあそびにいかないのっ?」



「だからそう言ってるでしょ~。したいこともないから」



「んむぅ~……あっ、そうだ! ようへーお兄ちゃんとあそびにいくのはっ?」




「え?」










おもわず息がつまる。









慌てて琴音の顔を見つめると、こちらを真っ直ぐに見つめる大きな瞳と、目があった。










「……どうして島津くん?」




「んー? だって、ようへ―お兄ちゃん、最近げんきないでしょっ? だからまこちゃんと遊んだらげんきになるかなーって!」




そう言って、建物に貼られたポスターを指差す琴音。






クリスマスイブから、クリスマス当日まで、駅前にクリスマスツリーが設置されるというお知らせだ。







……これは、一緒に見に行ったら、ということだろうな。










えへへ、かしこいでしょ!

と言わんばかりにご機嫌な琴音。








……本当にこの子は鋭いんだか、鈍いんだか。










保育園で人の感情や、状況に敏感なのは、少なからず育ってきた家庭の影響を受けているのだろう。









それが少し切なくて、それを紛らわせるために、力の抜けた笑みを浮かべた。









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