島津くんしっかりしてください
18,信じる勇気
それから月日はすぎて、あっという間にクリスマス当日。
私はいつも通りカフェで、クリスマス限定ケーキの販売を担当していた。
流石クリスマス、というべきか。
常連さんだけでなく、新規の親子も買いに来たおかげでテイクアウトケーキの売り上げは普段の二倍以上にものぼる。
「誠ちゃん、大丈夫? さっきから全く休憩取ってないけど」
「大丈夫です。むしろ……」
仕事をしていると、頭の中が空っぽになって、ちょうどいいから。
「むしろ?」
「……何でもないです。とにかく、大丈夫です」
首を傾げた木下さんに、曖昧な微笑みを浮かべて、目を伏せる。
俯いた途端にするりと、肩から髪が滑り落ちた。
柔らかな照明光を、つるりとはじく黒髪。
思えば、鏡を見て、この容姿に嫌悪感を抱くことが、最近ではなかった気がする。
この黒髪も、瞳も。
あいつのことを考える時間すら。
……ほんと、いっぱいいっぱいだなぁ。
私はいつも通りカフェで、クリスマス限定ケーキの販売を担当していた。
流石クリスマス、というべきか。
常連さんだけでなく、新規の親子も買いに来たおかげでテイクアウトケーキの売り上げは普段の二倍以上にものぼる。
「誠ちゃん、大丈夫? さっきから全く休憩取ってないけど」
「大丈夫です。むしろ……」
仕事をしていると、頭の中が空っぽになって、ちょうどいいから。
「むしろ?」
「……何でもないです。とにかく、大丈夫です」
首を傾げた木下さんに、曖昧な微笑みを浮かべて、目を伏せる。
俯いた途端にするりと、肩から髪が滑り落ちた。
柔らかな照明光を、つるりとはじく黒髪。
思えば、鏡を見て、この容姿に嫌悪感を抱くことが、最近ではなかった気がする。
この黒髪も、瞳も。
あいつのことを考える時間すら。
……ほんと、いっぱいいっぱいだなぁ。