島津くんしっかりしてください
そうこうしている間に、木下さんがキッチンから帰ってきて。










その手にはテイクアウト用の小さな箱が抱えられていた。










「木下さん、それは?」




「あぁ、そういえば誠ちゃんはクリスマスの時期に働くのは初めてだっけ」









そう言って穏やかに微笑む木下さん。










眼鏡に隔てられた柔らかなはちみつ色が、箱を見降ろす。










「毎年恒例なんだ。クリスマス限定のケーキを二つ取り置きしておくの」




一輝くんが取りに来てくれるからね。









そう言って微笑む木下さんに、鹿島先輩はよそ行きの笑顔で小さく会釈した。









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