島津くんしっかりしてください
急に動きを止めた私に、先輩はいぶかしむように眉を寄せて、首を傾げる。
「誠ちゃん?」
「……何でもないです」
にっこりと笑顔を浮かべて、首を横に振った。
それから、私の手からケーキを受け取ろうとする鹿島先輩の耳にそっと、囁いた。
「……島津くん、鞠亜さんに告白したんですよ」
「……っ」
ぴくんと、眉が一瞬痙攣したかのように動く。
聞こえるか、聞こえないか微妙な音量だったけど、しっかりと声は届いたようだ。
ちらりとこちらに視線を送り、ハッと短く息を吐く。
「……それの、どこが俺に関係あるの」
へらり、と感情の読めない笑顔。
見慣れた、一番彼らしいと思える表情。
……思えば、先輩はいつもこんな顔をして笑っていた。
にこにこと本心を悟らせず、自分の絶対領域から他人を排除する。
そんな部分も、私によく似ている側面だった。
似ているからこそ、わかることがある。
本心を押し隠すことが決していい決断でないことは、身をもって知ったから。
「誠ちゃん?」
「……何でもないです」
にっこりと笑顔を浮かべて、首を横に振った。
それから、私の手からケーキを受け取ろうとする鹿島先輩の耳にそっと、囁いた。
「……島津くん、鞠亜さんに告白したんですよ」
「……っ」
ぴくんと、眉が一瞬痙攣したかのように動く。
聞こえるか、聞こえないか微妙な音量だったけど、しっかりと声は届いたようだ。
ちらりとこちらに視線を送り、ハッと短く息を吐く。
「……それの、どこが俺に関係あるの」
へらり、と感情の読めない笑顔。
見慣れた、一番彼らしいと思える表情。
……思えば、先輩はいつもこんな顔をして笑っていた。
にこにこと本心を悟らせず、自分の絶対領域から他人を排除する。
そんな部分も、私によく似ている側面だった。
似ているからこそ、わかることがある。
本心を押し隠すことが決していい決断でないことは、身をもって知ったから。