島津くんしっかりしてください
「先輩は……何も、しないんですか」








……なんて、私が言えることじゃないけど。








そう考えたのは私だけでなかったみたいだ。






先輩はぱちぱちと瞬いた後、薄く目を閉じ、はっと口から息を漏らした。









皮肉るような、ニヒルな笑み。













「……ケーキ、ありがとう」







それは一瞬で、すぐに当たり障りのない笑みを浮かべて、店を後にする鹿島先輩。









その背中をぼんやりと眺めて、ぎゅっと手を握り閉めた。










何もしてないのは、君も同じでしょ。











その瞳は、確かにそう告げていた。










……そんなことは、とっくにわかっていた。









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