島津くんしっかりしてください
逃亡しようと立ち上がっていたけど、諦めて再びしゃがみ込んだ。









「ごめんね。起こしちゃって」



「……ぅうん…だい、じょぶ……だよぉ……」









こすこすと目元をこすって伸びをする島津くん。














猫のような、子供のような。






そんなひどく緩慢な動きで。









それほどまでに深く眠っていたのかと思うと、起こしてしまったことに罪悪感を感じた。










ぱちぱちと数回瞬きを繰り返すと、段々意識が覚醒してきたようで。













島津くんは気まずげに眉を寄せて、笑って見せた。














「あは……なんか、久しぶりだね、真見さん」




「……同じ家に住んでるんだけど。あとその下手なつくり笑いやめて、腹立つ」





「ひどいなー」







ばっさりと切り捨てると、あははって、乾いた笑みを目の当たりにして、眉を寄せた。











苦し気に細められた瞳、ぎこちない口角。









……ほんと、作り笑いが下手すぎる。





そんなのばればれだよ、島津くん。










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