島津くんしっかりしてください
熱?




そんな馬鹿な。





ありえない、熱なんてひいてたら自分で気が付くでしょ。




流石に。










特に焦ることもなく、渡された体温計を脇に挟み込んだ。





ピピ、と微かな電子音を発して、測定が終わる。






浮かんだ数字を目にして、つい目を瞬いた。







「38度……?」




え、嘘。



私疲れてるのかな、38度って……。






目を丸くする私に、加奈子は瞬時に体温計をひったくるように奪い、言う。







「もう! 通りで様子が変だと思った。あんた体弱いんだから少しは気を付けなよ! この前も熱出したばっかじゃない!」





その剣幕にぱちぱちと目を瞬かせた。






どうやら、目の錯覚ではなかったらしい。






加奈子の言葉に、琴音も心配そうに眉を寄せてこちらの様子を伺った。







< 282 / 372 >

この作品をシェア

pagetop