島津くんしっかりしてください
でも。こんなに熱があるのに気が付かないなんて……。






私、どれだけ浮かれてたの……






羞恥心がこみ上げてきて、じわじわと顔が熱を帯びていく。







それを隠そうと俯いたら、何を思ったのか加奈子がガシッと肩を掴んで。







「帰りな、今すぐに!」



なんて言い出す。








「琴音ちゃんは今日預かるから、誠は家でゆっくり休みな?」



「え、で、でも……」






そんなの申し訳なさすぎる……と断ろうとするも、加奈子はまるで聞く耳を持たない。






そのうえ、何かを思いついたといわんばかりに顔を明るくさせた。








「そうだ! 島津くんに迎えに来てもらおう」



「⁉」




いいことを思いついたといわんばかりのその表情に、思わず顔を引き攣らせた。






「ちょ、待っ……え? し、しまずくん……?」






聞き間違いだよね? そうだよね?






そうであってくれと思いつつ引き攣った唇を動かすけど、無情にも加奈子は満面の笑みを浮かべるばかり。






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