島津くんしっかりしてください
「うれしいな……」









なんて言ってその首筋にぎゅっと腕を回した。









ふわりと香る、柔らかな香り。









あぁ、私、この感覚好きだな。






ぎゅって島津くんを抱きしめて、心の中で呟くの。















……ずっと、そばにいてほしいって。









でもそんなこと口に出してしまったら島津くんを困らせちゃうだろうから。









本音を綺麗にカバーして、都合よく切り取って。



ラッピングして。









いつだって美しい言葉を贈るんだ。
















「いつもありがとう、……だいすきだよ」



「……っ」











そう、最後にぽつりと漏らして。





再び意識を手放した。









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