島津くんしっかりしてください
ぼと、と心の中に墨が落ちて、広がっていくような感覚。









また、だ。








この気持ちも、真見さんと関わるようになって、初めて感じたもので。








そこまで考えて、ふ、と苦笑が漏れた。









また真見さんのことばっかり考えてる。









思っている以上に、真見さんは俺の心の大部分を占めているみたいだ。








笑った拍子に真見さんがうーんと身じろぎをして、起こしてしまったかなと一瞬不安になる。









ぴたりと動きを止めた俺に、真見さんは再び寝息を立て始め……















ふふ、とご機嫌に微笑んで、俺の首筋にすり、と頬を近づけた。







「~っ……!」





さらりと首元に黒髪がかかって、少しこそばゆい。









ふわりと柔らかい花のような香りは、俺と同じ洗剤を使っているとは思えないほど心地よくて。









くらりと、酔っているかのような感覚に陥る。










ほんっとに……魅力的だ。







美少女にすり寄られてドキドキしない俺はいない、なんて。








本日何度目かの言い訳を使って。






自分の鼓動が早くなっていることも、顔の熱さも、そう誤魔化した。









< 296 / 372 >

この作品をシェア

pagetop