島津くんしっかりしてください
「……それ、ほんと?」






ぼそりと、低く問う。







黒目がちな瞳が、まん丸く見開かれていく。















「え?」







何か言った?と首を傾げられて、無意識に止めていた息をはっと吐き出した。









「……何でもない」






そう?と首を傾げるママに、ふっと目を閉じる。






ここは夢で、こんなこと聞いたって意味なんてない。







どうせ私に都合の良い返事しか返ってこないのだから。











……今でも、時々不安になるんだ。







もし、もしもの話。






……もしも島津くんが言ったことが全部見当違いで、ママが本当に私を嫌っていたら?






心にぽっかりと開いた穴から風が通り過ぎているみたいな。






体温が下がって、ツッと背筋を冷たい汗が流れた。














ずっと、頭にこびりついて離れない不安感をなくすには、どうすればいいんだろうか。












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