島津くんしっかりしてください
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ぴとりと額を濡らす感覚に、スッと頭がさえていく。







……頭、痛。











むくりと体を起こすと、途端に頭部がじくじくと痛み出す。










うめき声をあげて額をおさえようとして、右手に違和感を覚えた。









それに視線をやると、そこにはベッドに上半身をうつ伏せている大きな背中があった。














「なんで……」






呆然と呟いて、眼を大きく見開く。








目元を覆うダークブラウンの髪を、そっとよけてみた。









固く閉ざされた双眸を覆う、長いまつげ。






どうやら熟睡しているだけのようで、具合が悪いというわけじゃなさそうだ。









ふっと息を吐く。









どうして、とか。




そんなことは後でいい。








今大事なことは、島津くんをこんなところで寝かせて風邪をひかせないこと。








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