島津くんしっかりしてください
「あはは、なんて言ってみたりして。冗談だよ? 島津くんに風邪をうつすわけにもいかないし、はやく部屋出たほうがいいよ」




「……」



「ね? 島津くん」



「…………違うよ」



「え?」










放したばかりの手をガシッと力強く握られて、思わず声が漏れる。









「し、島津くん?」



「……真見さんはさらさらの黒髪が綺麗で、またいつか髪乾かしたいなって、ずっと思ってた」



「……うん?」









唐突な告白にぱちぱちと目を瞬いた。









「え、……と、髪?」



「そう」






いや、そんな真面目な顔で頷かないでいただきない。






この人は急に何を言い出すんだ。









呆気に取られて何も言えずに黙り込む私に、島津くんは続ける。









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