島津くんしっかりしてください
ばくばくと妙な存在感を放つ心臓を落ち着かせるように、数回深呼吸をした。












大丈夫、大丈夫。






動揺したっていいことなんて一つもないし、島津くんは前からこんな感じだった。




私が過剰な反応をしているだけだ。







そう、きっと今回の言葉にも特別な意味なんてない。






妹。

そうだ、たぶん琴音に言うのと同じ感覚。






だから、期待しちゃだめ。









静まれ心臓。







ふーっと息を吐いて、顔の火照りを抑えた。













「……ありがとう」






あくまで冷静に、動揺を表さないで。





にこって笑顔を浮かべるけど、島津くんはじっとこちらを見つめるばかり。









「……なんか、聞き流してるでしょ」



「え?……いや、そんなことないけど」



「ほんとかなぁ……」








なんてため息をついて、疑わし気な視線を向けられてしまう。






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