島津くんしっかりしてください
にぱーって曇りなき、いたって純な笑顔を向けられて、思わず額に手を当てた。






人の不幸は蜜の味ですか、そうですか。









こんなに心底楽しそうな様子の人は初めて見ますね。












どんよりとした気持ちを晴らそうと大きくため息をついて、ゆるゆると口を開いた。

















「……キープなんてそんなこと島津くんはしませんし、できません」



そんなことが出来るくらい恋愛上級者なら、今頃とっくに鞠亜さんと付き合ってるはずです。









そう事実を述べた私に、鹿島先輩はまたもやぶはっと吹き出した。









「それは間違いない。あいつ不器用だからなー」



「そうですよ、先輩と一緒にしてもらっちゃ困ります」



「俺も恋愛初心者なんだけどな~」



「……は?」



「うわ、すっごい顔」







ぶーっと頬を膨らませて見せる先輩に、絶対零度の視線を浴びせた。









< 326 / 372 >

この作品をシェア

pagetop