島津くんしっかりしてください
私が、ハジメくんを地獄に突き落とすなんて、そんなことできない。





だけど、ハジメくんの気持ちを受け入れることもできない。





私は、どうすればいい?









まるで出口のない迷路にでも迷い込んでしまったみたいだ。









曖昧な返答をして、期待を持たせてはいけない。




わかるのは、それだけだった。








もごもごと口の中で言葉を転がすことしかできなくて、言い篭る。













その時後ろから足音がして。









同時に、肩をぐいって引き寄せられた。











「……っ真見さんを困らせるな」



「っえ、」








少し苦しそうな発声と、ふわりと柔らかな香り。






目を、見開いた。










思考の海から、手を引き上げられたかのように、意識が覚醒するのがわかる。















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