島津くんしっかりしてください
……何、それ。








ぷちんって、頭の中で何かが切れたような音がする。


















つかつかと島津くんに歩み寄り、腕を掴んで、壁の前に立たせて。
























「あ、え……さ、真見さん……っ?」
















困惑の声なんて無視して、逃げないように、逃がさないように体の両側に手をついた。











いわゆる壁ドンといわれる体制に、島津くんの頬にさっと赤みが入ったのがわかる。











体格差のせいで、まるで島津くんに抱き着いているかのような感覚に、私もつられて頬が上気していくのを感じた。









だけど、だめ。







我慢。





私は今怒っているんだから。












きょどきょどと忙しなく動き回る瞳を、至近距離からじっと見つめた。













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