島津くんしっかりしてください
「あの、せめてお手伝いさせてください」



「え、だめよ、誠ちゃんはあっちで陽平たちと遊んどいて?」



「いえ、働かざる者食うべからずですから」






これだけは譲れない。






そう言って引き下がると、洋子さんは困った顔をしつつ頷いてくれた。






エプロンを借りて、洋子さんと並んでキッチンに立つ。






「「じゃあ……ハンバーグでも作りましょうか。誠ちゃん、玉ねぎのみじん切りお願いできる?」



「はい、わかりました」






玉ねぎに包丁で細かく切れ込みを入れて、サクサクとテンポよく切っていく。






ハンバーグにするんだったら少し大きめに切った方が食感があっていいかな。






黙々と作業を進めていると、横からの視線を感じた。






「誠ちゃん随分手際がいいのね。家でもよく料理するの?」



「そうですね。家事はほとんど私の担当なので」



「……そうなの、誠ちゃんすごいわ~いいお嫁さんになりそうね。ね? 陽平」






突然の問いかけに島津君は慌ててこちらを見、困ったような顔をする。






「えー……そこで俺にふる? なんて答えればいいの?」



「……はぁ、ダメね。ダメダメね。そこで素直に女の子を褒められないなんて……」



「いや、人見知りにそんなの求められても……」






……なんか島津家におけるパワーバランスがわかってきたぞ。





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