島津くんしっかりしてください
まるでコントのような会話。

でも笑う気にはなれなくて、ふっと息を吐いた。






……幸せな家族だな。






明るくて面白い美人な母親。

イケメンで素直なかわいらしい息子。



理想の家族像。






……まぁ、私にとってはどうでもいいことだけど。









玉ねぎのみじん切りを終え、ボールに移す。



これをお肉、調味料、パン粉、牛乳と混ぜて、丸めて焼いたら、ハンバーグの完成だ。






島津くんと洋子さんが話しているうちにパパッと焼き終わり、お皿に盛りつけてテーブルに置く。






「あっ、ごめんね、誠ちゃん! 陽平と話すのに夢中になっちゃって!」



「いえ、大丈夫です。ハンバーグは作り慣れてますので。でも、味付けとか私流になっちゃったんですけど、大丈夫ですか?」



「大丈夫に決まってるじゃない! 誠ちゃんの手料理を食べられるなんて感無量よ……!」





ぐすんっと涙ぐむ洋子さん。






えぇ……たかがハンバーグごときでこんなに感動されるの。






嘘……。






椅子に座り、皆で食卓を囲む。





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