島津くんしっかりしてください
「はーいじゃあ男子は島津、女子は真見にお願いするからなー拍手ー」






あぁ釘を刺された……。






仕方ない、諦めて頑張ろう。






とりあえず今日は早く帰らないと。







********************






「……え? 島津くんってそんなに人気なの?」



「え? 知らなかったの?」






来週の昼休み。






坂田加奈子と昼食を食べていると、加奈子が呆れたようにため息をついた。






加奈子は幼稚園児の頃からの知り合いであり、私の数少ない友達であり、幼馴染でもある。








「島津陽平って言ったら学年一のイケメンとして有名じゃない」



「ふーん」



「ふーんってあんたねぇ……」







興味を示さず、適当に返事をしてしまったら加奈子は私の肩をがしっとつかみ、鼻息荒く力説し始めた。






「いい? 島津っていうのは、今彼氏にしたい男子ランキング第一位にも選ばれたような奴なのよ」



「何そのランキング」



「あんのよ、学校中の女子が投票したんだから。ちなみに私は鹿島先輩に投票したけど!」



「鹿島先輩……?」



「え、あんた本当に記憶喪失にでもなったんじゃないの?」



「鹿島先輩……あぁ、思い出した」






加奈子がよく話していたからかろうじて記憶に残っている。






何でも、顔良し、性格よし、運動神経よし、の完璧ボーイらしく、ひそかにファンクラブもあるらしい。






加奈子はそんな先輩に入学式の時一目ぼれして以来四六時中先輩の話をしてきゃあきゃあと騒いでいる。






やばい、興味なさすぎて記憶から抹消されかけてた。





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