島津くんしっかりしてください
「ー……っちょ、ちょっと待ってください!」






その時、私と洋子さんの間に小さな体が割り込んだ。






「こ、琴音……?」






琴音は両手いっぱいに開いて、私を庇うみたいに立っていて。






まるで洋子さんの視線から私を隠してくれているかのようだった。






「琴音ちゃん? どうしたの?」






にこりと微笑んだ洋子さんをきっと睨む。







「まこちゃんをいじめないでっ」



「琴音……」



「まこちゃんはずっと頑張ってるんだもん……頑張ってるんだもん! ことねのために……っしんどくても頑張ってくれてるのに……っ」



「琴音、もう、いいから」



「……なのにっ、どうしてまこちゃんを追い詰めるようなこと言うの⁉」



「琴音!」






𠮟りつけるような声色で言うと、琴音は泣きそうに顔をしかめたままこちらを振り返る。






「琴音、ありがとう。私は大丈夫……大丈夫だから」



「まこちゃん……」






駆け寄って抱きしめると、琴音はくしゃりと破顔させて、私の服をぎゅっと握りしめた。



その小さな肩は微かに震えていて、じくりと心臓が痛んだ。






私がふがいないあまりに、琴音に無理をさせてしまった。






その事実が悔しくて、唇を噛み締める。






私が、もっとしっかりしなくちゃ。





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