島津くんしっかりしてください
琴音に庇ってもらうなんて、情けないことは二度と起こさない。






これはそのための第一歩だ。






心を奮い立たせ、洋子さんをまっすぐに見据えた。







「……琴音ちゃん、聞いて」



「……」







洋子さんが優しく琴音に話しかけるも、琴音は私の足にしがみついて離れない。






「……なんですか？」






琴音の代わりにこたえると、洋子さんは一層笑みを深くした。








「琴音ちゃん、私は二人の事が大好き。それは本当だよ」



「……」



「だからね、私が二人を幸せにしたいの」



「……え？」






ぴくりと琴音がはじけるように顔を上げて、洋子さんを振り返る。






「琴音ちゃん。家政婦って何をするかわかる？」



「……わかる。家のことを何でもして、大変そうだった」



「うんうん、そうだね。でもね、私はお姉ちゃんをこき使うつもりはないの」



「……」






その言葉の真偽を探るような視線。






それを受けてなお、洋子さんは笑みを絶やさなかった。





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