島津くんしっかりしてください
********************






「誠ちゃん!!!! 待ってたわよ!!!」






呼び出し鈴を押し、名乗った瞬間にばたーんと玄関ドアが乱暴に開かれる。






そこには洋子さんが満面の笑みを浮かべて立っていて。






「こんにちは、洋子さん。今日からお世話になります」



「おせわにっ、なります!」



「ぁあ……っ、かわいすぎる……! こんなにかわいい子が2人もうちにいて私大丈夫かしら⁉」






2人でそろって頭を下げると、洋子さんは胸元を掴み、うぅっと唸る。






「し、心臓が……っ、心臓が止まってまう……!」

「馬鹿なこと言ってないで早く案内してあげろって」






しゃがみ込んだ洋子さんの頭を呆れ顔ではたいたのは島津くん。






目が合って、柔らかく微笑まれる。






「こんにちは、真見さん」



「こんにちは、島津くん。これからお世話になります」



「琴音ちゃんもようこそわが家へ」



「ようへ―お兄ちゃん!」






ぱぁあっと顔を輝かせて抱き着く琴音を優しく抱き留めると、こちらに視線をやる。






「お世話になるなんて、それはこっちの台詞だよ?」




真見さんが働くんだから、と続ける島津くん。









< 61 / 372 >

この作品をシェア

pagetop